エンターテイメントプラットフォーム「TikTok(ティックトック)」を運営するTikTok Japanは、2022年12月14日(水)にTikTokセーフティパートナーおよび有識者・関係省庁の皆さまにご参加いただき、「第15回TikTok Japan セーフティパートナーカウンシル」をオンラインにて開催しました。今回は、「デジタルシティズンシップとプラットフォームの役割」をテーマにTikTokが行うべき取り組みについて議論しました。


■基調講演

基調講演では、国際大学グローバル・コミュニケーション・センターで准教授・主幹研究員を務める豊福晋平先生に「デジタルシティズンシップ デジタルの善き使い手を育むために」と題し、デジタルシティズンシップの考え方などについてお話しいただきました。


■デジタルシティズンシップとは何か?

デジタルシティズンシップとは、デジタル技術の利用を通じて、社会に積極的に関与し、参加する能力のこと。1990年台米国において、学校での情報機器の不適切利用が問題化した際、利用制限により対応しようとしたが効果がないことが判明。利用制限的アプローチから移行するにあたり、コンピュータ倫理の考え方を応用して生まれたのがデジタルシティズンシップという考え方。


■デジタルシティズンシップの促進とプラットフォームの役割

以下の点でTikTokが積極的な役割を果たせるとのお話をいただきました。

①デジタルは市民生活に不可欠なツールという認識をどう広めるか

デジタルは市民社会参加のための不可欠なツールとなっており、基本的な人権に近いものである。しかし、このような認識をどう広めていくかは非常に難しい。

②情報消費者教育から社会参加促進への転換

偽情報・誤情報は、ワクチンデマなど公共の危険もあるにもかかわらず、情報の扱いについて一人ひとりに大きな責任が生じると認識されていないのが課題。また、ヘイトスピーチやネットいじめについても、バイスタンダー(傍観者)ではなく、ケア・共感し、心の支えになるアップスタンダー(関わる人)として関わる、社会参加の姿勢を促進すべき。いじめなどの課題も、それをどう排除するかではなく「解決策がある」ことを教育していくことがデジタルシティズンシップを促進する。

③学校教育や就労者層以外の人々をどう巻き込むか

教育課程や職場で日常的にデジタルへのアクセスがある人は良いが、そのようなアクセスがない人々に、どのように伝え巻き込んでいくのかが課題。公開講座を開いても人はなかなか来ないので、知識が必要な人にはメッセージが届かないという課題がある。

④TikTokの位置付けは世代ドミナントなプラットフォームからのメッセージ

若い世代への影響力が大きいので、どういうメッセージを企業として発信するかが非常に重要である。


■ディスカッション

ご参加いただいたセーフティパートナーやNPOの皆さま、関係省庁の皆さまを交え、ディスカッションを実施しました。基調講演で論題となったデジタルシティズンシップの捉え方や普段の活動との関係などについて、豊福先生も交えて多様な意見が飛び交う時間となりました。主な3つの論点と、それに対して議論の中で出たコメントの一部を下記にまとめました。

(写真上部左から、雫穿大学 朝倉氏、OVA 伊藤氏、育て上げネット 蟇田氏、3keys 鈴木氏、東京自殺防止センター 美濃部氏、日本いのちの電話連盟 諸石氏、ストップいじめ!ナビ 須永氏、カタリバ 野倉氏、 ぱっぷす 内田氏)


<子どもたちに市民社会への参画を促していくにあたって>

  • (雫穿大学 朝倉氏)今日の話もデジタルという側面はあれど、本質的にはシティズンシップ教育なのではないか。自分たちの事業の根底にあるのはフリースクールの取り組みだが、それは欧米ではデモクラティックスクールという言い方もする。つまり子どものころからデモクラシーの仕組みを理解・経験することが大切であり、それはデジタルシティズンシップの促進のためにも必要な要素であると考える。

<「デジタル」知識の分断が招く困難な点>

  • (育て上げネット 蟇田氏)コロナ禍になってからデジタルでの就労支援を行ってきた中で、若者の間での分断が進みだした。ポジティブに捉えて社会復帰への礎を築く不登校の子どももいれば、子どものオンライン適応に不安を抱く親からの相談も増えて、そもそも保護者がデジタル技術についていけないという相談も。この分断にどう対応すべきか、社会全体で分断を防ぐ仕組みができればと考えている。

<デジタル・シティズンシップと各取り組みテーマとの関わり>

  • (ストップいじめ!ナビ 須永氏)子どもたちにはいくつかのタイプがあり、極度にネットを怖がっている子ども、平気な子、平気で使って痛い目を見ている子など。それぞれに合わせた指導方法がある。問題は家族間の課題なのか友人間なのか社会とのかかわり方なのか。子ども自身も、問題のありかを分析し、科学的・合理的な解決策を考える練習になるような、デジタルシティズンシップ教育ができると良い。


「第15回TikTok Japan セーフティパートナーカウンシル」開催概要


■日時:2022年12月14日(水)15:00 - 16:30

■テーマ:「デジタルシティズンシップとプラットフォームの役割」

■開催形式:オンライン

■アジェンダ:

(1)基調講演

国際大学グローバル・コミュニケーション・センター 准教授・主幹研究員 豊福 晋平先生

(2)ディスカッション

■出席者(順不同/敬称略)

  • 国際大学グローバル・コミュニケーション・センター 准教授・主幹研究員 豊福 晋平先生
  • TikTokセーフティパートナーのみなさま
    • 特定非営利活動法人 国際ビフレンダーズ 東京自殺防止センター
    • NPO法人ストップいじめ!ナビ
    • 認定特定非営利活動法人育て上げネット
    • 特定非営利活動法人OVA(オーヴァ)
    • 認定NPO法人3keys(スリーキーズ)
    • TDU・雫穿大学
    • NPO法人ぱっぷす
    • 認定NPO法人カタリバ
    • 日本いのちの電話連盟
  • 総務省 総合通信基盤局 電気通信事業部 消費者行政第一課
  • 総務省 情報流通行政局 情報流通振興課