専門家の山口真一氏、TikTokクリエイターのしんのすけさんとともに、24名の参加クリエイター・大学生が自分たちにできることについてディスカッションを実施

ショートムービープラットフォーム「TikTok(ティックトック)」は2024年2月28日、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)が推進するサイバーセキュリティ月間(2月1日~3月18日)に合わせた安全啓発キャンペーンの一環として「偽・誤情報の防止に関するワークショップ」を開催しました。

当日は、24名の大学生・TikTokクリエイターが参加。イベントの前半では、国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授の山口真一氏を講師に招き、偽・誤情報に関する現状や対策をお話しいただきました。イベントの後半では、偽・誤情報を防止する方法について参加者が6グループに分かれてディスカッション。各グループで意見を集約し、映画感想TikTokクリエイターのしんのすけさんと山口氏を交え、意見を交換しました。

「迷ったら拡散しない」フェイク情報の真偽が判断できない時代に大切なこと

まず、国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授の山口真一氏より「日本におけるフェイク情報の状況と求められる対策」と題して、フェイク情報への向き合い方について、レクチャーをしていただきました。

オンライン空間は多様な方々が自己表現できる場所である一方、フェイク情報も多くみられる、と山口氏は指摘します。実際に選挙や、リアルタイムで状況が変化する自然災害などにおいて、真偽の見極めがつかない情報が飛び交うのを目の当たりにしています。

このようなフェイク情報の特徴は、センセーショナルであること。それを目にした人の感情を強く刺激し、ついついシェアしたくなる感情を刺激するという特徴があります。「そんな時にこそ1歩立ち止まり、ファクトチェックを行うことが重要です」と山口氏はいいます。

しかし、日本ではファクトチェックの実施数が非常に少なく、その方法もあまり知られていません。ベトナム、フィリピン、台湾などアジアの10の国と地域で約7,000人を対象に実施した調査によると、日本においてファクトチェックの方法を知っている人はわずか19%。調査対象の国と地域で最下位でした。「日本はフェイク情報に弱い環境なんです」と山口氏は指摘します。

「日本では、多くの人がフェイク情報を信じているという調査結果も判明しています。例えば、ある政治関連のフェイクニュースに接した人の中で誤りと気づいた人は13%しかいませんでした」(山口氏)

フェイク情報は、技術の進化とともクオリティが高まりました。いまや真実の情報と見極めがつかないないほどです。そんなフェイク情報に対して、我々はどのように対処すればよいのでしょうか。「まずは、誰でも情報にだまされる可能性があり、自分は大丈夫だと思っている人こそだまされる可能性が高いという認識を持つようにしましょう」と山口氏は熱を込めて語ります。

「情報への警戒心を強めた上で、情報への違和感を抱いたら、例えば、画像を逆検察してみましょう。ただ、それでも真偽を確認できないこともあります。その時は、拡散しないようにしましょう」(山口氏)

TikTokの偽・誤情報における取り組み

続いて、TikTok Trust&Safetyチームのヤン・スヨンが、TikTokにおける偽・誤情報の取り組みついて説明しました。

TikTokでは、「誰もが安心して本当の自分らしさを表現できる場所」を実現するために、コミュニティ保護の観点から9つのガイドラインを定めています。その内、誠実性と信頼性のトピック(https://www.tiktok.com/community-guidelines/ja-jp/integrity-authenticity/)で「誤情報」というサブテーマを設定。災害・医療・気候変動・科学・政治・人種など個人や社会に対して混乱を与える可能性のある誤情報の投稿を禁止しています。

その方針を守るために、TikTokでは、情報チェックの体制も強化。信頼性のある情報を提供する情報センターの立ち上げや、公共サービスのお知らせをハッシュの検索ページへ追加するなどの対応を実施し、さらに、情報の真偽を確認するために、50以上の言語をサポートする17のファクトチェックパートナーとも提携しています。2023年には、AIを活用した動画にラベル付けができる機能も実装し、ラベルの適用をクリエイターの皆さんに推奨しています。「TikTokでは、誤情報への対策を強化しています。もし誤情報だと思われるものを見かけたら、報告機能を使ってください」と参加者に呼びかけました。

効果的な偽・誤情報防止のアイデアを議論

ワークショップの後半では、山口氏、ヤン氏の話を受け、6グループにわかれて、「日本における誤情報を防止する効果的なアイデア」というテーマでディスカッションしました。

ディスカッションに先立ち、100万人以上のTikTokフォロワーを持つ映画感想TikTokクリエイターのしんのすけさんが、山口氏の講演を受けてコメントしました。

「フェイク情報は映画やドラマなどでもテーマとして多く取り上げられているので、もともと強く関心を持っていました。僕自身も情報を発信する上で注意はしていましたが、SNSやプラットフォームにおける発信以外の部分でも情報の取り扱いを注意しようと思いました」(しんのすけさん)

ディスカッションでは、各グループから触れる機会が多い誤情報の例が数多く出されました。「誤情報が溢れていて、日常でも触れるケースが多く、具体的事例を思い出すのに苦労する」などの声もありました。

そんな偽・誤情報への対策については「不確定な情報に対しては断定しないように気をつける」「画像は逆検索。1次ソースを確認してから家族や友人に情報をシェアする」「断定しないように語尾に気をつける」「コメント欄を見て、多様な意見を参考にする」などの意見が挙がりました。

最後に、各グループが発表した内容を受けて、しんのすけさんと山口氏がそれぞれコメントしました。

「みなさんの意見を聞いて、勉強になりました。バズることへの価値が上がっている中で、僕は情報を発信する際に、誇張しないように気をつけています。また、動画を作る際に、客観的な部分と主観的な部分の切り分けに注意しています。偽・誤情報を防ぐためには、大人こそ積極的に勉強しなければいけません。幅広い世代が学べる方法を模索する必要があると考えています」(しんのすけさん)

「しんのすけさんがおっしゃるように、事実と意見を切り分けることは重要です。事実検証のコメント欄の参考。実は、コメント欄を参考にするのはメリットとデメリットがあると予想されます。メリットは、自分と異なる意見に気づくこと。一方でデメリットは、自分の意見と同じコメントばかりを見て、自分の意見が正しいと信じてしまうこと。この点は注意が必要なので、多様な意見を参考にして下さい。また、TikTokには、偽・誤情報や不適切なコンテンツを報告できる機能があります。ハードルが高い部分もあるとは思いますが、ぜひ積極的に活用してください

偽・誤情報が大きな社会課題となる中、一人ひとりが『オンライン空間における偽・誤情報について認識し、シェアする前に立ち一度止まって考え、疑わしい場合は投稿しない』ことを意識することが重要です」(山口氏)

TikTokは今後も、専門家の方々との連携のもと、社会課題の解決に向け、意見交換を実施してまいります。