ショートムービープラットフォーム「TikTok(ティックトック)」は、2023年12月15日(金)に「第19回TikTok Japan セーフティパートナー・カウンシル」を開催しました。当日は、TikTokセーフティパートナーおよび有識者の皆さまにご参加いただき、基調講演を実施後、「情報と倫理の考え方」をテーマにデジタルプラットフォームが取り組むべき対策について議論しました。
■基調講演
基調講演には、立教大学 大学院人工知能科学研究科 教授の村上祐子(むらかみ ゆうこ)先生をオンラインでお招きし、「情報倫理と研究開発の倫理」をテーマにお話いただきました。上記テーマの中で、「より良い社会をつくるために、AIを開発する際の留意点」「社会課題の解決のためのAIの活用方法」「AIの活用・開発におけるリスク管理」「倫理についての勉強方法」などについて、具体例やイメージも交えながら、社会全体として、そして特にプラットフォームとして取り組むべき対策について講演いただきました。
■ディスカッション
ご参加いただいたセーフティパートナーの皆さまを交え、ディスカッションを実施しました。基調講演で論題となったテーマの中から、特にAIの倫理的な活用に関してについて、多様な意見が飛び交いました。主な論点と、各論点についての議論(一部抜粋)は以下の通りです。
(写真左から、ぱっぷす 金尻氏、カタリバ 野倉氏)
<AI活用における倫理問題とその対策について>
・ LINEを使用して相談サービスをやっている中で、保護者からも悩みを抱えている子ども本人からも幅広く相談が来る。相談者の多くは、相談窓口で話を聞いてもらってスッキリする。話を聞くだけであれば、AIチャットボットで足りるのでは?と思うこともあるが、責任の所在などが難しい課題。また、相談者が納得のいかない回答や、相談者の気持ちに寄り添えない回答になってしまった場合はどうするのか?制度でどこまで解消できるのかなど含めて、より深い議論が必要。(カタリバ 野倉氏)
・ AIの活用に当たり、開発者・提供者だけでなく、ユーザーの責任が問われる中で、子どものユーザーが、どこまで責任を負えるのかという点を疑問に思っている。TikTokを含めたプラットフォームにおいて、AIラベルなどの表示を行っているが、青少年ユーザーがどこまで理解できているのかの検証と、配慮が必要。(3keys 福氏)
・ 青少年の子たちに、ChatGPTを使ってみてもったらことがあるが、Wikipediaのような検索ツールとしての使い方をしていた。「どのように入力をすれば、どのように出力されるか」という点を理解してもらった上でそれぞれの活用方法を見出してほしい。そのためには、リテラシー教育が必要。(育て上げネット 伊野氏)
・ Q:言語処理と画像処理のAIはそれぞれ別で考えた方が良いと思っているが、ガバナンスの違いなどはあるのか?(ぱっぷす 金尻氏)
A:人は視覚で見た情報の方がテキスト情報よりも信じやすいという傾向にあるが、見たものをそのまますべて信じてはいけないという点を教育していく必要がある。技術的な面では、加工画像をオンラインにアップする前に検知するソフトウェアが研究開発されている。TikTokでは、AIが生成したコンテンツにラベル付けする新機能を最近発表した。このように、事前に加工された情報である可能性を提示することが重要。また、技術は作る人も使う人も人間であるため、最終的には「倫理」という点に戻ってくるであろう。(村上先生)
<TikTokなどプラットフォーム事業者ができること>
・ 基調講演やディスカッションで度々作る側と使う側の話が上がっているが、両者の間に提供する側もいる。人がAIの凄まじい進化に技術でキャッチアップするのは難しいと思っている中で、デジタルシチズンシップをどのように醸成するかが大事で、その中でのTikTokの役割は大きいと思う。全体的な底上げをするには、やはり中間的な立場にいる提供者がしっかりと作る側と使う側への影響を理解している必要があるのではないか。(安心ネットづくり促進協議会 高木氏)
<TikTokの最新の機能及び取り組みの紹介>
・ TikTok Japan公共政策本部 公共政策マネージャーの金子から、「コミュニティガイドライン」や「レコメンドシステムの透明性」、AIで生成したコンテンツに「生成AI」とラベルを付けることができる機能「AIラベル」などを含む安心・安全対策に向けたTikTokの取り組みをコミュニティガイドライン中心に紹介しました。TikTokには、コミュニティガイドラインという全ての方に守っていただくルールがあり、これはご利用いただくユーザーだけでなく、プラットフォーム側も遵守すべきルールと位置付けられています。加えて、投稿される動画の審査・削除体制や「おすすめ」フィードのリセットなどについても情報共有しました。
「第19回TikTok Japan セーフティパートナー・カウンシル」開催概要
■日時:2023年12月15日(金)16:00 - 17:30
■テーマ:「情報と倫理の考え方」
■アジェンダ:
(1)基調講演 立教大学 大学院人工知能科学研究科 教授 村上祐子 先生「情報倫理と研究開発の倫理」
(2)ディスカッション
■出席者(順不同/敬称略)
- TikTokセーフティパートナーのみなさま
認定NPO法人3keys(スリーキーズ)
TDU・雫穿大学
特定非営利活動法人 国際ビフレンダーズ 東京自殺防止センター
認定特定非営利活動法人育て上げネット
NPO法人ストップいじめ!ナビ
認定NPO法人カタリバ
NPO法人ぱっぷす
特定非営利活動法人OVA(オーヴァ) - 安心ネットづくり促進協議会
TikTokは今後も専門家の方々との連携のもと、社会課題の解決に向け、意見交換を実施してまいります。