2024年11月28日(木)、時事通信社が主催しTikTokが協賛するiJAMP自治体実務セミナー「地方創生とDXが拓く未来~防災・SNS、ショート動画による行政情報発信~」が開催されました。
その第2部で、TikTokは公的セクター向け動画コンテスト「ThinkTalk Day 2024~公的セクターにおけるショートムービー活用の可能性~」(以下、「ThinkTalk Day 2024」)を実施。本コンテストは公的セクターの優れたショート動画活用の取り組みを広く知っていただき、さらなる情報発信や啓発活動の推進、安全なデジタル環境の構築に貢献することを目的としています。
司会を務めたTikTokクリエイターの遠坂めぐ(えんさかめぐ)さん
12月に開催される「TikTok Awards Japan」2024では、今年より「Public Sector of the Year」部門が新設されます。今回の「ThinkTalk Day 2024」では同部門にノミネートされた8作品が発表されるとともに、審査委員の皆さまから選考理由の説明がありました。
4名の審査委員が150本の作品を選考
左から、審査委員長を務める武蔵大学社会学部メディア社会学科教授/国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)主幹研究員の庄司昌彦氏、電通PRコンサルティング専務執行役員の国田智子氏、時事通信社解説委員 兼 時事通信ブランドスタジオ代表取締役の武部隆氏、TikTokクリエイターの「あああつし」さん
「ThinkTalk Day 2024」の審査委員長は、昨年に引き続き、武蔵大学社会学部メディア社会学科教授の庄司昌彦氏が務めました。庄司氏は「自治体の情報発信は、目的を決めターゲットを絞るなどのノウハウも重要な要素ではありますが、ショート動画という分野で『クリエイティビティの爆発』を見たい」と今回のアワードへの期待を語りました。さらに電通PRコンサルティング専務執行役員の国田智子氏、時事通信社解説委員 兼 時事通信ブランドスタジオ代表取締役の武部隆氏、ショート動画クリエイターの「あああつし」さんの計4名が今年の審査委員を務めています。
「Public Sector of the Year」は、運営主体が「国」「地方自治体」「公的機関など」のアカウントまたは公的セクターとのコラボレーションを実施したクリエイターアカウントから投稿されたショート動画のうち、2024年1月1日から10月31日までに公開された動画を審査対象としています。審査のポイントは「行政や公的セクターの機能としての有効性」「コンテンツとしての魅力や完成度」「伸びしろ」「エンゲージメント率」の4項目を主として、さらに「ほかの公的セクターへの良好な参考事例となることが期待される」や、「波及効果が見込まれるもの」といった観点も考慮しながら審査し、150作品の中から8作品をノミネートしました。
8本のノミネート作品を発表
続いて「Public Sector of the Year」のノミネート8作品が上映されました。
茨城県
茨城県プロモーションチーム 中庭氏
あんこうは茨城を代表する冬の味覚ですが、どのように誘客に結び付けるかという部分で悩みがありました。海外でも人気のクリエイター、バヤシさんを起用することで、国内外にあんこうの魅力をインパクトのある映像とともにお届けしたいという思いで制作しました。
審査委員コメント 武部氏
海外も意識した発信ということもあり、言葉が最後の一言しか出てこない、映像と音だけでの表現というのは行政としては斬新だったと思います。おいしそう、という感情を呼び起こすような、いい動画でした。
奈良県
奈良県観光局 観光力創造課 東村氏
奈良県は3つの世界遺産がある歴史文化が豊かな県ですが、魅力はそれだけではありません。新たな切り口で奈良の魅力、観光情報を若年層に発信するためにTikTokを活用しています。今後も、いいね数や視聴数に関係なく、視聴者が実際に奈良県に足を運びたくなる動画を発信していきたいと考えています。
審査委員コメント 庄司氏
奈良県は去年もノミネートされていて、(動画を見て)私は実際に奈良を訪れました。今年の動画もおいしそうで、ぜひ行って食べたくなりますね。いわゆる「奈良らしさ」ではないところが紹介されていますが、観光客は意外とこういった訪問先に満足感を感じることもありますよね。奈良に行きたくなる気持ちを引き出す動画だと思います。
京都府京都市
https://www.tiktok.com/@kyotocontents/video/7392882681077353735
京都府京都市産業観光局 クリエイティブ産業振興室 首都圏担当課 長﨑氏
京都市は混雑する時間帯を避けて観光する「朝観光」を推奨しており、動画内では実際に朝観光できるスポットを選んで紹介しています。人気声優の岡本信彦さんを起用して若い方々にも見てもらえたことで、若い方々に京都に来てもらえるきっかけになったのではないかと思っています。
審査委員コメント あああつしさん
動画を見た瞬間「最高だな!」と思いました。TikTokクリエイターとコラボする動画は多いですが、声優さんとコラボしているのが新鮮ですね。本当に声優の岡本さんとデートしているような気分になります。もちろん声も心地いいですし、朝のすいている観光地の映像を見て、実際に行ってみたくなりました。
鹿児島県鹿児島
鹿児島市 観光戦略推進課戦略係 有馬氏(コメント代読)
鹿児島市は、街のシンボル・活火山桜島に育まれた雄大な自然、豊かな食や温泉など、火山の恵み「マグマの幸(さち)」があふれる都市です。動画では食・癒し・アクティビティと多方面からその魅力を紹介いたしました。今回すてきな動画を作成してくださったクリエイターのNEOトラベラーズ様に、改めて感謝申し上げます。
審査委員コメント 国田氏
動画のテンポが良くて見ていて純粋に楽しめる動画でした。画面から鹿児島のスケール感が感じられ、土地の魅力が伝わってきました。観光地名・値段・英語の字幕など情報量は多いけど、詰め込み感がないよう見せ方が工夫されていました。これを見て、鹿児島に行ってみたいなと思いました。
熊本県
熊本県 知事公室広報課 前氏
今年の6月に職員2名で「やってみよう」精神でアカウントを開設しました。職員自らが観光を楽しんでいるという体で、阿蘇の大自然の緑や水、すがすがしい空気といったシズル感を感じとってもらえるよう、極力テロップは減らし、映像と音楽だけで楽しんでもらえるようにつくりました。今後もさらに熊本県の魅力を世界に発信して行ければと思います。
審査委員コメント 武部氏
普通は地方自治体がつくる動画は長くなりがちだが、この動画は伝えたいこと以外をそぎ落としてあり、自治体として冒険した動画だと思います。阿蘇は去年仕事で行ったばかりだが、自分が見た風景が出てきて、いい思い出がよみがえってきました。
東京都葛飾区
東京都葛飾区 総務部広報課 島田氏
予想をはるかに超える視聴数を記録し、驚きと喜びの両方がありました。視聴の半分くらいを海外の方が占めており、言語の違いなども関係なく楽しめる動画となったことをうれしく思います。今後ももっと葛飾区の魅力を発信できるよう、公務員としての枠にとらわれない動画をつくっていきたいと思います。
審査委員コメント 国田氏
動画としてのクオリティが高いというのが第一印象です。映像と音だけでキレが良く、何度でも見ていたい気持ちよさがあります。また人気TikTokクリエイターを起用するのではなく、職人さんだけが登場する部分にもオリジナリティがあり、こういうやり方もあるんだな、と気づかされました。
岡山県
岡山県 産業労働部観光課 森氏(コメント代読)
この動画は、訪日外国人の移動手段で人気の新幹線を使ったテーマで巡る旅を表現するシーンに特にこだわっています。新幹線の窓から岡山駅が映し出される場面や、旅行先の駅名が入った看板をグリーンバックで合成する工夫が、臨場感と旅のワクワク感を最大限に引き出しています。
審査委員コメント あああつしさん
この動画を最初に見たときは、すごく嫉妬しました。映像作品としてすごくクオリティが高く、アイデアにもあふれています。例えば動画と動画をつなぐトランジションが全カットに散りばめられていて、クリエイター目線からもすごい作品だと思います。
福島県浪江町
福島県浪江町 企画財政課 及川氏
福島県浪江町は東日本大震災の地震と津波、原発事故により大きな被害を受けましたが、復興が進み前向きな話題も増えています。そんな浪江町のいまのリアルな状況や楽しさを伝えるためにTikTokで発信をしています。今回は浪江町だからこそできる発信として、防災をテーマにクリエイターの100円娯楽さんにTikTok LIVEをしていただき、動画も制作しました。
審査委員コメント 庄司氏
「こういうやり方もあるんだ」と気づかされる動画でした。浪江町が今は若い人が元気に発信できる場所になっているんだな、と伝わってきました。また100円娯楽さんの弾丸トークも、面白いだけではなく実際に役立つ内容で、行政が発信する方法としてひとつのモデルになると感じました。
受賞作品は12月5日の「TikTok Awards Japan」2024で発表
最後に、審査委員長の庄司氏より応募作品全体に対してコメント。事前の審査段階では数多くの動画を見て「本当に多様なやり方があるんだな」という発見があったそうです。また短い動画の中にもいろいろ読み取れることがあり、改めて動画というメディアの可能性を感じさせられた審査だったと振り返りました。そして会場やオンラインで見ている公的セクターの皆さまに向け、「ノミネート作品に限らずたくさんの動画を見て、新しい動画の可能性を試してほしい」と呼びかけました。
12月5日に開催される「TikTok Awards Japan」2024において、今回発表された8つのノミネート作品の中から、「Public Sector of the Year」として最優秀賞、優秀賞などが表彰されます。「TikTok Awards Japan」2024は、TikTok LIVEでも配信予定(@tiktok_live_japan)です。TikTok Japanは、本プロジェクトを通じて公的セクターの優れた情報発信の取り組みを広く知っていただくことで、さらなる情報発信や啓発活動の推進と安全なデジタル環境の構築に貢献していきます。
※iJAMP自治体実務セミナー「地方創生とDXが拓く未来~防災・SNS、ショート動画による行政情報発信~」第1部のレポートも近日公開予定です。