ショートムービープラットフォーム「TikTok(ティックトック)」が、第75回カンヌ国際映画祭のオフィシャルパートナーとしてグローバルで開催した「#TikTokShortFilm コンペティション」のグランプリに、東京を拠点に活動する長野県出身の本木真武太(もときまぶた)(@lang_pictures)さんが選出されました。5月20日(金)に行われたカンヌ国際映画祭の表彰式に参加し、賞金10,000ユーロなどを受け取りました。
今年3月から4月にかけて開催された「#TikTokShortFilm コンペティション」には、44の国と地域から、若手からベテランまでたくさんのクリエイターが参加し、TikTokのクリエイティブなツールやエフェクトを駆使して撮影した作品を多数応募いただきました。現在、「#TikTokShortFilm」をつけて投稿された動画の総再生回数は45億回を突破しています。
応募作品は、映画業界を牽引するメンバーで構成される審査員によって、グランプリ、最優秀編集賞、最優秀脚本賞の3部門で審査され、グランプリ2名、最優秀編集賞1名、最優秀脚本賞1名の合計4名の受賞者が決定いたしました。
厳正な審査の結果、東京を拠点に活動する長野県出身のクリエイターである本木真武太さん(@lang_pictures)が制作した日本の伝統工芸をテーマとした動画、Kitte kitte iino? (木って切っていいの?)がグランプリを受賞。日本人として初めて、世界中からの数多くの応募の中からグランプリを獲得する快挙を成し遂げました。
【受賞作品概要】
グランプリ
<作品タイトル>
Kitte kitte iino? (木って切っていいの?)
<作品概要>
日本の繊細な伝統工芸である桶づくりを紹介しながら、物を大切にすること、そしてその思いを未来につなげることをメッセージとして伝え、環境問題という幅広いテーマを3分の短い映画に落とし込んでいる。
<クリエイター>
本木真武太(もときまぶた)(@lang_pictures)
東京を拠点に活動する長野県出身の映画監督・ビデオグラファー。合同会社LANG PICTURES代表。
<クリエイターコメント>
それはもう言葉にできないくらい嬉しい出来事です。ずっとカンヌ国際映画祭でレッドカーペットを歩く事が夢でした。映画監督にとってこんな光栄な事はありません。
10歳の時から映画監督を志して34歳になりました。これまでに一緒に夢を追いかけていた仲間が私の元を離れて行ったり、生計が立てられず映画監督の夢を諦めようした時もありました。そんな時に必ずいつも支えてくれたのが家族でした。今までずっと私の事を信じて支えてくれた家族に改めて感謝を伝えたいと思います。そしてこの様な素敵な機会を与えて下さったTikTokにも感謝したいです。動画を作る喜びと意欲を刺激してくれる、こんな最高のプラットフォームはないと思います!!
<作品について>
映画に出てくる桶職人は私の友人であり、また本当に桶職人です。元々彼のお爺ちゃんが桶職人でした。ある日彼のお爺ちゃんの店に遊びに行った時に、初めて彼のお爺ちゃんが作った桶を見せてもらいました。全てが手作りで木の特性を活かして緻密に設計された桶の美しさに感動しました。お爺ちゃんが若い頃にどうやって桶職人になった経緯や、お爺ちゃんをずっとそばで支えて来たお婆ちゃんにも当時の話を聞くことが出来ました。その時この桶の映画を撮りたいと思いました。しかしお爺ちゃんは亡くなってしまいました。友人はお爺ちゃんが亡くなった後に、意思を受け継いでやった事のない桶を作り始めました。その中で彼から桶作りの魅力や大変さなど沢山の話を聞きました。私自身も桶職人が減少している現状や桶の材料となる木について、また環境問題について知ることとなりました。彼が桶を作り始めて1年が経った時に、実際に彼が作った桶を見ました。それはとても美しく繊細な職人技でした。その時にお爺ちゃんが生きてる時に出来なかった映画を彼の作る桶で実現しようと思いました。
そしてすぐに脚本を書き始めました。今回の作品は桶職人の友人が実際に経験した出来事を元に脚本を書きました。
環境問題という幅広いテーマを3分の短い映画に盛り込むことはとても難しいことでした。普段短い動画を楽しんでいるTikTokのユーザーがどうしたら飽きずに最後まで3分間見てくれるか考えました。
そこで私はあえて環境問題の全てを語らずにシンプルストーリーにして、桶職人が桶を作る日常をテンポ良く描く構成にしました。桶職人の映像は日本人でも中々見る機会がないので、日本だけでなく世界中の人々も日本の伝統文化にきっと興味があるだろうと思っていました。そして私が一番伝えたかったメッセージは物を大切にすること、そしてその思いを未来につなげること。それが環境を守る事へとつながると思いました。ストーリーがシンプルであっても、この映画を見た後にTikTokのコメント欄を通じてユーザー同士がそれぞれの意見を共有し合えば、映画を見て終わりではなくその先に続いていくと思っていました。
また今回の映画「木って切っていいの?」を制作するのにあたり、縦型の構図をどう上手く使ってストーリーを表現しようかと悩みました。映画で一般的なサイズの16:9で撮影して、両サイドを削ってそれをただ縦型にする事も出来ました。しかしそれだと普通の映画とあまり変わりません。今回はTikTokの映画祭なので、TikTokに合わせた撮影をしなければTikTokでやる意味がないと思いました。編集に関してもTikTokに合ったテンポ感の良いリズミカルなカットと観客を飽きさせないようにストーリーに緩急をつけて3分で収まる構成にしようと思いました。
とても挑戦的ではありましたが、TikTokの特徴を活かした作り方をすれば長い動画でもTikTokのユーザーに飽きずに見てもらえる映画を作れると思いました。
【その他受賞作】
グランプリ(同時受賞)
<作品タイトル>
<作品概要>
愛をテーマにした作品。主人公2人のコミュニケーション手段として、紙飛行機を使った有名な三目並べゲームのアレンジを使用。
<クリエイター>
Matej Rimanic(@rimanic)/ スロベニア
<クリエイターコメント>
Winning the competition and coming to Cannes, surrounded by all the amazing filmmakers, still doesn't feel real. We see TikTok as a tool for getting yourself out there, raising your voice and, of course, having a laugh. We would like to encourage everyone to also try to be a creator, not just a consumer of content, and watch all the opportunities they could wish for present themselves
最優秀編集賞
<作品タイトル>
<作品概要>
ビデオゲームと現実をミックスし、無重力を表現した作品。
<クリエイター>
Tim Hamilton(@tim.diddle)/ ニュージーランド
<クリエイターコメント>
I know many creators engaging in these new platforms hear themselves being demoted as not being real filmmakers. I don't think creators should be discouraged. Filmmaking has been in dire need of democratization and it's finally getting it. The creatives using TikTok don't have hundreds of crew members and yet, the most innovative filmmaking techniques you can see today come straight out of TikTok. I'm thrilled to see TikTok recognized as a place of storytelling.
最優秀脚本賞
<作品タイトル>
<作品概要>
女性や声を聞いてもらえない、声を上げることができない人たちに対する暴力を糾弾している作品。
<クリエイター>
Claudia Cochet(@claudia_cochet)/ フランス
<クリエイターコメント>
That's why my character is mute throughout the short film. I came to TikTok precisely to tell stories, between fantasy and fiction, to pass on messages and to transport as many people as possible in my adventures. At 17, I had the chance to come to the Festival de Cannes with my audiovisual class. I made a promise to myself to come back one day thanks to my film. Today it's a done deal thanks to my perseverance and TikTok.